『たけくらべ』を読んだ感想

『たけくらべ』を読んだ感想 読書
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お寺の藤本君と大黒屋の美登利ちゃんの淡い初恋物語

初め底本を読んだんだけど、学生の頃の古文の雰囲気を思い出しつつも、内容が全然頭に入ってこなかったので、川上未映子訳の方を読みました。そしたらサラッと読めて、中高生にウケそうな青春小説だなぁという感じ。訳本を読んでから底本に戻ると、「そういうことが書いてあったのか」と意味が分かって面白い。

それにしても、120年以上前に24歳の若さで亡くなった女流作家の本を読んでいるということに感慨深いものを感じた。どの作家の作品が後世まで語り継がれていくのかって、誰かが意図的に操作してる部分もゼロではないにせよ、100年後にどうなるかなんて誰にも想像ができない。そんな中で、日本文学史に名前を刻んで今も読まれ、しかも現代語訳までされちゃうっていうのは、何かしら特別なものがあるんだろうなぁ。

この作品の時代は明治に入ってるっぽいけど、どこかしら江戸情緒が色濃く残っている世界観が好き。ちょっと前に読んだ『しゃばけ』という妖怪が出てくる江戸時代人情ものもそうだけど、人と人とが密に関わっているというか、お節介の応酬みたいな平和な感じが少し眩しい。衛生面とか、設備面とか考えたら現代の方がよっぽど恵まれてるんだろうけどね。

一時的にタイムスリップ的に物語に没頭して、今の生活に何かしらの瑞々しさが得られる気がして、江戸~明治初期には足しげく通いたいなぁと思わせてくれた作品でした。

 

樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集13)

『たけくらべ』を読んだ感想

単行本: 544ページ
出版社: 河出書房新社 (2015/2/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 4309728839
ISBN-13: 978-4309728834
発売日: 2015/2/12

 

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