『告白』を読んだ感想

『告白』を読んだ感想

スポンサードリンク


超絶分厚い文庫本842ページ!でもサラッと読めた理由

町田康の『告白』読み終えた。文庫本で842ページと分厚い本。私の中では京極夏彦以来のボリューム感。それでもサラッと読めたのは、作中の時代こそ明治初頭だけど時折現代口語っぽい口調が混じっていること。それだけで、かなり読みやすくなってしまう。

たぶん、古典と言われる作品も現代の若者が読めるように口語っぽくして再版とかを積極的に進めればいいのになぁと思った。原本は原本としての重みもあるし残すべきだけど、広く読み継がれる方がいいんじゃないかなって気がする。この本を読んで、そんなヒントみたいなのが得られたのは意外だった。

 

熊太郎はダメな奴だけど嫌いになれない

主人公の熊太郎はホントにダメな奴だし、歳を重ねてもダメさ加減が変わらない。でも、どこかしら嫌いになれなかった。仕事もロクにしてないし、博奕・酒・女とダメ街道まっしぐらなんだけど、やっぱり嫌いになれない。根がいい奴っていうのが一番の理由なんだと思う。弥五郎が最後まで熊太郎を見放さなかったのも、損得勘定よりも情が勝ってたところが大きい気がする。

ただ、私が熊太郎のことを根がいい奴だと思えるのは、読者として彼の内面を知ることができてるから。現実に熊太郎みたいな人間がいたら、積極的には関わりたいと思えない。そういう意味では、私たちは他人というものを「職業や外見や行動といった限られた情報だけで単純化して捉えているんだ」なと改めて思った。ま、効率的に生きるための処世術的な側面もあるので、それもしょうがないけど。

殺人って絶対ダメなことだけど、もしかしたら熊太郎みたいに鬱屈したものが30年以上も溜まって起こってしまうこともあるのかも。そんな風に感じた。

 

熊太郎らが十人斬りしてる場面、不謹慎にもスッキリした

どんな理由があるにせよ、復讐のために人を殺すなんて絶対にダメなこと。それはわかっているけれど、それでも熊太郎が熊次を斬ってるシーンなんかはスッキリ感がすごかった。ダメな奴だとわかっていながらも、どこかで立ち直ってくれないかなと感情移入しつつ熊太郎を見てきた。そんな熊太郎が、自業自得とはいえ騙され、金をむしり取られ、バカにされ続ける姿にフラストレーションが溜まっていたから。そのストレスを一気に爆発させるようなシーンは不謹慎なカタルシス。

数年前に流行ったドラマ半沢直樹が倍返しするシーンと似てるかも。上司の立場もメンツも全て無視して、全力で復讐するのっていくら正義とは言え、いかがなもんなのかなぁと思ったりもした。でも、半沢直樹でも不謹慎なカタルシスは発動してたなぁ。理性と感情はどこまでいっても噛み合わない。

 

特筆すべき熊太郎の父、平次の底知れぬ忍耐力

物語すべてを通して一番印象に残ったのが熊太郎の父親である平次の忍耐力。子供の頃に水車を壊したといわれ弁償代を払い、家の仕事は手伝わずいくつになっても家でゴロゴロ。そんな息子に不満を口にすることもあるけど、勘当するわけでもなく家に住まわす。

いよいよ殺人まで犯したとなったら、家財道具や土地までもすべて売り払って、見舞金や仏事料として渡す。そして、そのまま四国西国に巡礼して、亡くなった十人の霊を慰める。この超人的な忍耐力がスゴイなぁと。地に足つけて仕事してきた人間の素朴さって強いのかもなぁと思った。

 

告白

『告白』を読んだ感想

第41回(2005年) 谷崎潤一郎賞受賞。恋愛小説みたいなタイトルだけど、恋愛要素は皆無。色恋沙汰はちょっとあります。

文庫: 850ページ
出版社: 中央公論新社 (2008/2/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4122049695
ISBN-13: 978-4122049697
発売日: 2008/2/1

 

>> 本の詳細はコチラ

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

スポンサードリンク


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください